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2010年のイベントレポート

TENCON 2010 特別企画 パネルディスカッション 「アジア諸国に学ぶ女性のキャリアの築き方」 (2010年11月23日)

2010年11月21日から24日まで、福岡国際会議場にてIEEE Fukuoka SectionおよびIEEE Region 10主催、IEEE Japan Council, IEEE Japan Council Women In Engineering Affinity Group (JC WIE ), IEEE Region 10 Women In Engineering (R10 WIE)共催でTENCON2010が開催されました。JC WIE および R10 WIEは、Women In Engineering Track (Track Chair: Basabi Chakraborty, Track Co-chair: 岩下友美) の企画・運営を行いました。Women In Engineering Trackでは、Technical SessionとPoster Session, および九州大学女性研究者キャリア開発センターと共催で、パネルディスカッション「アジア諸国に学ぶ女性のキャリアの築き方(Women’s career development in Asian Countries)」を開催しました。

Technical SessionおよびPoster Sessionでは、著者が女性かつ女性の貢献度が50%以上の論文を募集しました。92件の投稿があり、査読の結果、オーラルセッション23本、ポスターセッション22本を採録しました。オーラルセッションでは分野ごとに7つのセッションに分けて発表を行い、のべ100人程度が参加して活発な質疑応答が行われました。

Technical Sessionでの発表者を対象として、Best Paper Awardを選出しました。Ramalatha Marimuthu氏を選考委員長とし、WIE Japanメンバーと各セッションのChairが論文の内容・独自性、発表に関して評価を行った結果、以下の論文をBest Paper Awardとして決定し、クロージングで表彰を行いました。
“A Compact 3D Descriptor in ROI for Human Action Recognition” Yanli JI, Atsushi SHIMADA, Rin-ichiro TANIGUCHI(Kyushu University)

TENCON2010 パネルディスカッションTENCON2010 パネルディスカッション

11月23日の14時から行われたパネルディスカッションは、逐次通訳者を依頼しTENCON2010参加者だけでなく一般の聴講者も無料で参加できるようにしました。当日は44名の参加者があり、活発な議論が行われ、時間が足りないほどでした。IEEE JC WIE ChairのBasabi Chakraborty氏からの開会宣言のあと、九州大学女性研究者キャリア開発センター長の倉地幸徳氏からご挨拶として、世界と日本の女性研究者の比率と共に九州大学における取り組みをご紹介頂きました。また、リコーITソリューションズ株式会社取締役会長執行役員, IEEE JC WIE 前Chairの國井秀子氏からもご挨拶として、IEEE WIEおよびIEEE JC WIE と共にネットワーキングの重要性についてお話がありました。

さらに,それぞれのパネリストから7分の発表がありました.司会者でもあるIEEE WIE会長,並びにオーストラリアTelstra Corporation, Network Architecture Reliability Group技術部長を勤めるイレーナ・アトフ氏は,オーストラリアにおける女性技術者・科学者の状況を,@科学技術分野を専攻する女性の数が少ない,さらに,A科学技術分野を専攻する女性の多くは専門分野から離れているという2つの問題が存在すると分析しました.チリCatolica del Norle大学准教授を勤めているエリザベス・フォン・フランド氏は,チリでは工学を目指す女子学生が非常に少ない,工学専攻の女子学生が奨学金を受けにくいなど現状を厳しく指摘しました.中国青島大学副学長シャオ・フォンジン氏は,科学技術分野における中国の女性参入の成果を披露し,トップレベルの女性技術者・科学者はまだ不足している,受賞者もまだ少ないという課題を示しました.また,東京工業大学学術国際情報センター教授山口しのぶ氏,リコーITソリューションズ株式会社取締役会長執行役員である国井秀子氏もそれぞれ,日本における女性技術者研究者の現状とその問題についてそれぞれ述べました.

その後、Basabi Chakraborty氏の司会により、4人のパネリスト(九州大学名誉教授/福岡歯科大学客員教授/日本学術会議会員 水田祥代氏、チョソン大学(韓国)教授 Jeon-A Lee氏、ジェームス・クック大学(オーストラリア) 理工学部教授 Janina Mazierska氏、カルバカ・ヴィナーヤカ工科大学(インド) 電子通信学部教授・学部長 Ramalatha Marimuthu氏)から、それぞれのキャリアおよび各国の状況について説明がありました。10分の休憩の間に参加者に事前に配布した質問票を回収し、後半はコメンテータとして國井秀子氏を迎えて、質問票を元にパネルディスカッションが行われました。まずは各国の政策の質問が取り上げられ、各パネリストから主に出産後の復帰の制度について説明がありました。説明の中でMazierska氏が「女性は組織力がありチームプレーが上手なので、職場に利益をもたらす」と発言され、女性は仕事を継続すべきだということを強調されました。その後、女性研究者の割合を増やすために、目標や割当て(quota)を決めることが大事か、意識を変えることが大事かという熱い議論が続き、最終的には、意識改革ですがまずは割当てを決めることから始めるべきという方向になりました。最後はどうやってよい夫をみつけるかという話題になり、これからは良妻が男性の成功を後押しするのではなく、夫が良ければ女性が成功する時代になるだろうというコメントに会場が湧いて、お開きとなりました。

TENCON2010 パネルディスカッション

IEEE JC WIE: reported by Ray S. Atarashi(IIJ Innovation Institute)

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