IEEE Engineering Management Society Japan Chapter

(IEEE EMS Japan Chapter)

研究室の概要

科学技術に関する研究開発をマネージする方法論を研究の対象としている。豊かな生活を目指すには産業の競争力強化が必要で、そのためには企業間における健全なる競争・共同・相補関係の構築が重要となる。これにより弛み無いイノベーションをもたらすことができ、社会の発展につながる。またインターネット環境の世界的な浸透によりイノベーションに関する国際的視点も益々重要性を増している。こうしたプロセスを技術開発の視点から効果的に推進するために各組織における研究開発活動がいかに行われるべきかについて議論し、新たな考え方・手法について提言すべく関連テーマの研究を行っている。

このように、グローバルな視点での研究開発マネジメントについて議論するとともに、次世代技術戦略、イノベーションマネジメントについて研究し、これらをベースとした技術経営論の体系化を目指している。

主な研究分野

(1)研究開発組織における暗黙知マネジメントに関する研究.

(2)企業研究所経営のあり方及びこれに関連した産学連携について国際的視点からの分析、研究.

(3)国際化されたビジネス環境における技術イノベーションを起こすアントレプレナーシップのあり方、推進する仕組み、環境についての研究.

(4)国家レベルのR&D関連データ収集とこれに基づいた分析による産業競争力に関する研究.

(5)技術経営論の体系化.

(6)電子情報産業競争力強化に関する研究.

現在のコア研究テーマ

「研究開発マネジメント現場の暗黙知を暗黙知のままマネージする手法に関する研究」

研究開発組織の現場は日々が新規な事柄の連続である。これをマネージする一般的な方法論を構築することは極めて難しい。研究開発組織とは暗黙知の塊なのである。研究開発組織の中には他に比べて成果が多く出ているところがあるが、そこでは形式知化された方法論に加えて何らかの形で暗黙知を適切にマネージし伝承する仕組みが無意識に近い形を含めて存在しているはずである。言語の形で形式知化することができない暗黙知をそのままマネージする考え方と手法が開発できれば、研究開発競争力の維持発展に極めて有効と考えられる。

一方、産業競争力強化にとってMOT教育が重要であるとの認識でその活動が活発化している。研究開発マネジメントは技術経営(MOT:Management of Technology)における最も重要な要素の一つであるが暗黙知の塊であるが故に、その教育を効果的に行う方法論の開発が求められている。ここに「研究開発組織における暗黙知を暗黙知のままマネージする手法」のMOT教育現場への適用を目指す意義がある。我々は現在ビデオイメージを利用することでこの課題に取り組み始めている。この取り組みの進展により、研究開発にとって重要な役割を担う「直感」「ひらめき」や「セレンディピティ(serendipity)」を促進・増強させる環境についての知見を得ることも期待している。

研究テーマの具体例:

(1)研究開発マネジメントにおける暗黙知をビデオイメージにより蓄積・保存・検索・利用する手法の研究.

(2)MOT教育に関する研究.
技術経営教育と実践のためのナリッジマッチング ―システムズアプローチによる技術経営形式知の構造化と暗黙知伝達のポテンシャル分析― (奥津 祥子)
MOTManagement Of Technology)教育における講義シラバスを知識構造分析(神山 資将)

(3)インターネット環境を用いた暗黙知共有メカニズムとこれにより推進される知識創造プロセスに関する研究.
ネットコミュニティを含めたイノベーションモデルの提案〜ネットコミュニティでの知識創造〜 (松尾 慎太郎 : 2005年3月修了)

(4)研究開発組織におけるモチベーションマネジメントに関する研究.
R&D人材の内発的モチベーション・マネジメント 内発的モチベーションの要因と知識提供の関係 (堀江 常稔)

(5)産学連携
地域振興のための大学からの技術移転システムに関する一提案(渡邉 敬介 : 2005年3月修了)

(6)中国における特定分野の市場開拓とそのための技術マネジメントに関する研究.

(7)国際的研究開発コンソーシアムの形成による先端技術領域の認識とそのマネジメントの普及に関する研究.

(8)効果的先端技術開発マネジメントの手法に関する研究.
ロードマッピング・アプローチがプロダクト・イノベーションに与えるインパクトの分析及び比較研究 <日本語> <English> (王 蕾 : 2005年3月修了)

(9)環境フレンドリーな技術・製品開発手法に関する研究.
地熱エネルギーを用いた水素エネルギーの製造および実用化への提案 (住吉 洋一郎 : 2005年3月修了)

研究設備

(1)ネット上で知識創造支援を行うコミュニティウェア・サーバシステム.

(2)ビデオイメージ蓄積システム.

共同研究(希望テーマを含む)

(1)研究開発のグローバル化手法に関する研究.

(2)暗黙知をビデオイメージで蓄積・保存・検索・取り出すための研究.

(3)ビデオイメージを用いた暗黙知伝達によるMOT教育に関する研究.

(4)ネット上で暗黙知を共有する手法に関する研究.

(5)電子情報産業の技術競争力強化を目指した暗黙知マネジメントに関する研究.

________________________________________________________________________________________________________________________

メッセージ

深さを厳しく追求する知識創造プロセスには良い環境と楽しさが必要である。

イノベーションが生み出される所には簡単には真似できない独自のカルチャーがある。