IEEE EPS Japan Chapter Young Award


ICEP2021において優れた発表を行った若手研究者3名に対してIEEE EPS Japan Chapter Young Award を授賞しました。
ここにその栄誉を讃えます。

IEEE EPS Japan Chapter
Chair 日暮 英治

受賞者 Kazuma Kishimoto
所属 Waseda University / Japan
論文タイトル Fabrication of Micropatterned Fish Scale Collagen Scaffold Using Soft Lithography for Oral Mucosa Tissue Engineering
   
   
推薦理由 ナノインプリントによる人工粘膜作成技術に関しての研究発表であり、口腔粘膜を再現するためにSiの結晶異方性エッチングと等方性エッチングの組合せによって100µm幅、200µm高、200µmピッチの凹凸形状を形成し、これをマスター型として用いた人工粘膜作成手法として非常に優れた研究成果を得ている。 この手法では、マスター型の形状をPDMSからなるソフト型へと転写し、このソフト型の形状を魚の鱗から抽出されたコラーゲンへと更に転写しコラーゲン表面にマスター型の凹凸形状が転写される。その後、コラーゲンの凹凸形状表面へと上皮層を細胞培養し、ヒトの口腔粘膜を実現した。本研究成果は医学的な応用も大いに期待され、その価値は非常に高い。論文の構成、プレゼンテーションの内容、質疑応答の全てにおいて非常に優秀であったため、本論文をIEEE EPS Japan Chapter Young Awardに推薦する。



受賞者 I-You Yu
所属 National Chung Hsing University / Taiwan
論文タイトル Effects of Surface Physical Properties on Ultrasonic Cu/Cu Bonding
   
   
推薦理由 銅と銅の直接接合は、電気抵抗、信頼性、微細化の観点で従来のはんだ接合に比べて優れており、今後のエレクトロニクス実装において重要な技術のひとつと考えられている。その中で、超音波を用いた銅の直接接合は、大気圧下においてより低温・短時間での接合を可能とする方法のひとつとして広く研究されている。本論文では、電解めっきのパラメータを変えることで異なる硬度および表面粗さをもつ銅バンプを作製し、それら銅バンプ特性が接合強度に与える影響を調べている。その結果、チップ側にRaが大きく硬度の高いバンプを形成し、基板側に硬度の低いバンプを形成した場合においてより高い接合強度が得られることを明らかにし、接合温度100℃で32 MPa、室温接合で20 MPaの強度を達成している。これらバンプ特性の最適化により接合強度を大きく向上できることが示されたことは、産業応用の観点からも有用である。また、論文の構成、プレゼンテーションの内容や質疑応答においても非常に優秀であったのでIEEE EPS Japan Chapter Young Awardに推薦する。



受賞者 Kazuya Nishimura
所属 Osaka University / Japan
論文タイトル Frequency Characteristics of Ultrathin and Transparent Organic Electrochemical Transistors with 1-μm-Thick Parylene Lamination
   
   
推薦理由 近年、病気の早期発見のためのバイオセンサーの研究開発に関心が高まっている。特に、皮膚や臓器などの生体組織を非侵襲的に計測するためには、デバイスに柔軟性と透明性を与えることが重要となっている。そこで、本論文では、銀ナノワイヤーとラミネーションプロセスを用いた、有機電気化学トランジスタが提案された。ソース/ドレイン電極およびP型有機半導体(PEDOT:PSS)がパターニングされた基板を、パリレンによって封止することで作製されたトランジスタは、総厚2μmの極薄構造を有し、80%を超える光透過率が示された。さらに得られたトランジスタ特性は、従来の金電極を用いたトランジスタと同等であり、当該デバイスの有用性が示された。本成果は今後のバイオセンサーの発展に寄与するものと期待される。さらにプレゼンテーション動画も極めて優秀であり、本論文をIEEE EPS Japan Chapter Young Awardに推薦する。



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