IEEE Computer Sociery
[C-16] Kansai Chapter

2011年 第2回技術講演会 技術開発の真髄に迫る—革新技術への挑戦から国際標準化まで—

IEEE関西支部との共催で,井上弘士氏と田邉信二氏を講師にお招きして講演会を開催しました.

日時
2011年9月21日(水) 13:30–16:30
会場
キャンパスプラザ京都 4階 第3講義室
600-8216 京都府 京都市 下京区東塩小路町939

13:30–15:00 3次元積層マイクロプロセッサ 解決すべき課題と将来展望

概要
マイクロプロセッサの継続的な発展を可能にする新しいアプローチとして3次元積層デバイスの活用が国内外で注目を集めている.複数ダイを製造後に積層することにより,微細化に頼らない集積度の向上が可能となる.また,これまでの2次元実装LSIにおいては,回路の大規模化に伴いブロック間接続のための配線が長くなり,引いては動作周波数の低下や消費電力の増大を招くといった問題があった.これに対し,3次元積層LSIでは,3次元方向へ回路を集積することで短い配線長を維持しつつ,回路を大規模化できるといった利点がある.これに加え,DRAMとロジックのように異なるプロセスを製造した複数のダイを積層し,これらの間を多数の貫通ビア(TSV:Through Silicon Via)で接続することにより,従来の複数チップ構成では実現し得なかった極めて高いメモリバンド幅の活用が可能となる.本講演では,特にマイクロプロセッサとメモリに焦点を当て,3 次元積層アーキテクチャの研究動向を紹介すると伴に,解決すべき課題を整理し将来展望を述べる.
講演者
井上いのうえ 弘士こうじ (九州大学)

略歴

昭和46年生.平成8年 九州工業大学大学院情報工学研究科修士課程修了.同年 横河電機(株)入社.平成9年より(財)九州システム情報技術研究所研究助手.平成11年の1年間Halo LSI Design & Device Technology, Inc. にて訪問研究員としてフラッシュ・メモリの開発に従事.平成13年 九州大学にて工学博士を取得.同年,福岡大学工学部電子情報工学科助手.平成16年より九州大学大学院システム情報科学研究院助教授.平成19年4月より,同大学准教授,現在に至る.高性能/低消費電力 プロセッサ/メモリ・アーキテクチャ,ディペンダブル・アーキテクチャ,3次元積層アーキテクチャ,メニーコア・アーキテクチャ,性能評価,などに関する研究に従事.情報処理学会,電子情報通信学会,ACM,IEEE各会員.

15:10–16:40 先端技術開発と国際標準 IEEEにおける電力線搬送関連技術の標準化活動

概要
「よい技術を持っているのに,グローバル市場で勝てない」「日本の技術は今でも世界一」・・よく使われるフレーズです.でも,本当でしょうか?「国際標準は,技術の発展を妨げている」「国際標準は,『政治』で決まるもので,本当によい技術が標準とならない」.これも本当でしょうか?IEEEでの電力線搬送(PLC: Power Line Communication)関連技術の標準化を例に,技術開発と標準化,さらに市場開拓といったプロセスについてお話 したいと思います.
講演者
田邉たなべ 信二しんじ (三菱電機株式会社)

略歴

80/3 東北大学理学部物理学科卒.80/4 三菱電機入社.82–83 東北大学電気通信研究所研究員.89–90 ミネソタ大学客員研究員.この間,磁気記録,磁性薄膜の研究に従事.その後,先端総研研究グループリーダ,主管技師長としてEMC(ElectroMagnetic Compatibility),高速通信分野の研究,携帯電話マイクロ波の生体影響,電力線搬送(PLC)の方式,EMC,安全性標準化などに従事.2010/12 人材開発センター技術経営教室長,現在に至る.

ギャラリー