「日本の一次・二次電池産業の誕生と成長1893」IEEEマイルストーン贈呈式(2014年4月12日)

IEEE関西支部が推薦した「日本の一次・二次電池産業の誕生と成長1893(正式名:Birth and Growth of Primary and Secondary Battery Industries in Japan, 1893)」がIEEE Milestoneとして正式に認定されました。

それを受けて、2014年4月12日(土)、大阪市北区のクラブ関西にて、銘板(plaque)の贈呈式(IEEE Milestone Dedication Ceremony)が盛大に開催されました。

銘板
IEEEマイルストーン銘板

屋井乾電池
屋井乾電池(東京理科大学近代科学資料館提供)

長岡市出身の屋井先蔵(やい さきぞう)が設立した合資会社屋井乾電池は1893年に屋井電池発明特許を取得し、日本の乾電池産業を誕生させ、その発展に貢献しました。この偉業を継いで、株式会社 GSユアサとパナソニック株式会社は、産業機器および家電製品に搭載する一次・二次電池の巨大市場を開拓し、日本の電池産業および家電産業を発展させました。

GSユアサ電池
(GSユアサ提供)

パナソニック電池
初期の乾電池、リチウム一次電池、ニカド電池
(パナソニック提供)

贈呈式はIEEE関西支部の小野寺チェアの司会で進行し、株式会社 GSユアサ、パナソニック株式会社および、現存しない合資会社屋井乾電池に代わって、長岡市(屋井先蔵の出身地)、東京理科大学(その前身の東京物理学校に屋井先蔵が通った)近代科学資料館のそれぞれに対し、IEEE Past President の Peter Staecker 氏より、挨拶に続いて、銘板(plaque)が贈呈されました。

IEEE関西支部小野寺チェア
司会のIEEE関西支部小野寺チェア

Peter Staecker氏
挨拶する IEEE Past President Peter Staecker氏

Staecker氏の贈呈式の挨拶では、「IEEE マイルストーン」が、電気・電子・情報・通信分野において、開発から25年以上経過し、地域社会や産業の発展に多大な貢献をした歴史的業績を称える表彰制度で、1983年に設けられ、その最も古いものは18世紀のヴォルタによる電池の発明(1799)であって、今回がIEEE全体で138件目の認定であることなどを説明された後、日本の電池産業における屋井先蔵や島津源蔵の先駆的功績、その後の発展などについて言及され、最後に今回の銘板の内容を読み上げられました。

受賞者の答辞では、まず GSユアサの依田社長が、関係者への謝辞に続き、「創業者である島津源蔵が1895年に日本で初めて鉛蓄電池を製造し、その後『島津式鉛粉製造法』を発明、その後の世界の鉛蓄電池の発展にも貢献したものと自負しております。終戦後は高容量・低温特性にすぐれた鉛蓄電池を開発して社会インフラの復興に貢献し、また、自動車向けの高性能鉛蓄電池を開発、海外での現地生産も積極的に行って参りました。最近ではアイドリングストップ車用の高性能電池を実現するなど、今後とも創業者の島津源蔵、湯浅七左衛門の意志を引き継ぎ、環境社会を支えるエネルギーデバイスとして、二次電池事業の更なる発展に努力して参る所存でございます。」などと語りました。

次に パナソニック株式会社の社内カンパニーであるオートモーティブ&インダストリアルシステムズ社(以下、パナソニックAIS社)の伊藤社長が、今回の認定について、パナソニック社の乾電池、リチウム一次電池、ニカド電池の社会・産業への貢献が評価されたものとして関係者に謝辞を述べ、「電池事業は1931年に創業者の松下幸之助が、主力商品のナショナルランプを国民の必需品にとの理想のもと、その電源である乾電池を低価格で提供すべく自社生産を開始したのが起源であり、その後、リチウム電池などの一次電池、鉛電池、ニカド電池、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池を次々と開発・商品化し、世界で唯一の総合電池メーカーとして市場を牽引してきました。今後もこの受賞の感激を胸に刻みまして、世界中のお客様に安心・安全なエネルギーをお届けしてご期待にお応えできるように、精進努力する所存でございます。」などと語りました。

また、長岡市の磯田副市長は、長岡市と関西地区のつながりについて、大阪麦酒会社(現アサヒビール)や摂津電気鉄道株式会社(現阪神電気鉄道)の創業者である外山脩造に加えてまたひとつ絆が確認されたと述べ、東京理科大学近代科学資料館の大石学芸員は、屋井先蔵について乾電池の発明年、東京理科大学での足跡など、まだ不明な点も多く、これを機会に研究を進めたいとの意欲を語りました。

受賞者記念写真
受賞者記念写真、向かって左から、
IEEE関西支部 小野寺チェア、パナソニックAIS社 伊藤社長、
東京理科大学近代科学資料館 大石学芸員、IEEE Past President Peter Staecker氏、
長岡市 磯田副市長、GSユアサ 依田社長

贈呈式に引き続いて、記念講演会が開催されました。まずは Staecker氏がマイルストーンはIEEEの活動の中でもっとも一般の人々に知られ得る活動の一つであり、日本の貢献は大きい、また、今後も電池産業の成長は重要であり、より加速してほしいと語りました。続いてIEEE Japan Council History Committee の白川チェアが、日本のマイルストーンのこれまでの状況、特に今回が日本で19件目、関西支部で5件目の認定であること、などと、乾電池の誕生、特に、屋井先蔵は欧州とほぼ同時に、独立して、乾電池を発明したこと、一次電池工業の発展、鉛蓄電池工業の誕生、二次電池工業の発展などについて説明され、さらにGSユアサの村尾本部長、パナソニックAIS社の生駒所長が、それぞれ、両社の電池事業の歩みと現在の取り組み等について説明されました。

なお、贈呈式・記念講演会に続いてGSユアサとパナソニック主催の記念パーティーが開催されました。

今回のMilestone贈呈式はGSユアサ、パナソニック関係者の多大な貢献と努力により挙行することができました。関係者の方々にはこの場を借りて深く感謝致します。

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